アメリカからバックパック「Vertx」Ready Pack 2.0 が到着しました。
機内持ち込み用(とたまに日常使い)ためのバックパックがどうしても1つ欲しくて、やっと見つけたバックパックです。
度重なるリサーチの末、ピーク・デザインやグレゴリー、AER、ノースフェイス、オスプレイといった強豪ブランドを抑えて、お眼鏡に叶ったバックパックは、がVertxのReady Pack 2.0でした。
まぁ、各ブランドによって目指すバックパックのスタイルが異なるので、ひとつで万能に使えるというわけにはいきませんが、今回は主に機内持ち込み用を想定しました。
Vertx Ready Pack 2.0のレビュー・感想
Vertxとは?
Vertxのバックパックは日本ではあまり流通していないようで認知度も低いですが、アメリカの掲示板ではEDC(Every Day Carry:日常使い)バッグとして大変人気があります。
バックパックと一口に言っても、アウトドア系、ストリート系、学生系、カメラバッグ系、モダンスタイリッシュ系、タクティカル系など、取り扱いブランドによって様々なタイプがあります。
今回紹介するVertxは、(主婦に似つかわしくない)タクティカル系のバックパックでして、主に銃愛好家を中心に愛用されています。(紹介しにくーい)
Vertxは、レンジ・バッグと呼ばれる射撃練習用バッグ、CCW(Concealed Carry Weapon:隠し持つというわけではなく、護身用など)バッグと呼ばれる武器隠匿用バッグ、タクティカルバッグを専門とするアメリカのブランドです。
実用性と機能性に優れながらも、タクティカルとしては珍しいロープロファイルを実現しており、日常的に銃を使用するプロフェッショナルだけでなく、EDCバッグとして幅広い人から好評を得ています。
実はVertxの歴史は1842年に遡ります。実に178年の歴史に裏打ちされたブランドなのです。(衣類を販売する企業として1842年に創業、南北戦争の兵士の軍服、第二次大戦の軍服などを製造していました。そして2009年にVertx創業。)
注:筆者は一児の母であり主婦です。
Vertx Ready Pack 2.0 仕様
寸法:H48 x W27 x 22.8cm
容量:20L
重量:1343g弱くらい(公称値の記録なし、前バージョン1.0の重量を記載しています)
素材:500Dコーデュラ・ナイロン、YKKジッパー
防水の表記はありませんが、500Dコーデュラ・ナイロンという生地自体が防水耐久性に優れた生地なので、多少の雨などは心配なさそうです。
ピーク・デザインのエブリデイバッグ20Lよりは軽いですね。奥行はエブリデイバッグの30Lよりもあります。但し、ピーク・デザインの方が奥行は1気室なのに対し、Vertx Ready Packはフロントポケット、ミドル・コンパートメント、メイン・コンパートメント、そして背面の隠しコンパートメントと細かく分かれています。
こちらは前バージョンのReady Packの短い紹介ですが、デザインはほぼ同じです。
Vertx Ready Pack 2.0を選んだ理由
次に、私がReady Packを選ぶに至った理由を紹介していきます。
サイズ・容量が丁度いい
Vertex Ready PackはVertxの定番でベストセラー商品「Gamut」を小ぶりにしたようなバックパックです。こちらがGamutです。
ただ、Gamutは日常使いバッグとしては女性には大きいんですよね。容量は25Lになってますが、体感的には28Lくらいあるらしいです。
また、画像で分かるようにフロント部分をスリングとして使用することもできるので、パーカーやヘルメット、靴など、嵩張るものも収納できるので、日常使いよりは旅行向けだと思います。
荷物が多い人なら機内持ち込み用でもいいかもしれません。あるいは、短い海外放浪旅行など、カルーセルでスーツケースを待たずにさっと身軽に行きたい場合など。
実際、Gamutを使用してその機能性と収納能力に感銘を受けたものの、日常使いにはサイズがちょっと大きすぎるということでReady Packを購入したという方が結構います。
アメリカ人で普段使いに大きいと感じるなら私には間違いなく大きいはずなので、Ready Packを選びました。あと普段使いには、かなり重いと思って。
20Lくらいが男女ともに日常使いができるサイズ容量だと思います。25L以上になると中身を入れると結構な重さになってしまいますね。
タクティカルなのにタクティカルに見えない外観
ミリタリー調を好きな人は思いのほか多いようですが、中には私のようにミリタリー調に興味ない人もいます。その点、Vertxのバックパックはロープロファイルに徹しており、ぱっと見、Vertxユーザーだったり興味を持っている人でなければ、タクティカル系バックパックだと気づかれません。
ミリタリーのワナビー系(ミリタリーを気取りたい人)を揶揄する tacticool という造語があるように、実際に過度にミリタリーを顕示する人はアメリカでも嘲笑の対象になることがあります。その点、Vertxのバックパックなら控えめな外観なので安心です。
また、タクティカルらしく、ベルクロで外付けできる機能が内側にあるので、容量を増やしたいときは外付けパックを付けることができるというのがいいですね。
優秀な収納
大きいバックパックではありませんが、見た目に反してかなり入ります。
また、フロントポケット内部のデザインや収納ポケットの数、中央コンパートメントの2ウェイ仕様(後述します)など、収納デザインが優秀です。
Vertx Ready Pack 2.0 特徴
では実際にReady Packの特徴を見ていきます。
サイドポケットの素材はストレッチメッシュで伸縮性があります。
サイドポケット内側に伸縮ストラップが付いているので、水筒の首に引っ掛ければバッグが横になっても水筒が落ちません。このストラップは内側でなく外側の方が良かったという声あり。
ショルダーストラップにはウェビングがあり、カラビナなどを装着できるようになっています。
また、取り外し可能なチェストストラップとウエストストラップが付いています。ウエストストラップは使わないので画像では取り外してあります。チェストストラップの取り外し方が分かりませんw
背面は以前はメッシュ素材でしたが、このようなモールドパネルに変更されています。
背面パネルのモールドの凹凸により背中との接触面に空気の流れを作り出し、夏場の背中の蓄熱を軽減します。
タクティカル系のバックパックはだいたいそうだと思いますが、スリ防止目的でジッパ-同士を結ぶことで簡単に開けられなくすることができます。満員電車や人込み、海外に行くときには必須の機能です。
フロント底部にあるマジックテープ(ベルクロ)には、お好みのパッチを貼り付けたりすることができます。購買欲をそそられますね。
では内側を見ていきましょう。
内側はベージュ色で中身が見やすい!バックパックで内側の色が黒だと中身が見にくいブラックホール現象が生じ、目的のモノを取り出しにくくなります。
明るい色だと視認性が断然増すので、やはりライニングは明るい色のものがおススメです。基本的なことだけどコストが高くなるのか、ライニングの色が黒のバッグて意外に多いですよね。
ファスナーのジッパーとジッパープルの色を赤に変えて、視認性をさらに増しているのが偉い。
ボールペン、懐中電灯など長細いものを入れるスリットポケットが3つ、スマホが入るサイズのスリットポケットが1つ、ジッパーポケットが1つあります。
このフロントポケットは意外に深く、マチがあります。フラップ(蓋)は半分まで開くようになっており、中身が落ちません。
次はミドルコンパートメントです。フラップ(蓋部)は半分よりちょっと下くらいまで開きます。
ダブルジッパーを上辺角で止めておけば1つの大きなスリットポケットのようです。
フロントポケットとメインコンパートメントのフラップ(蓋)はある程度硬さがあってベロンと下がらないのに対し、ミドルコンパートメントのフラップはベロンと下がります(これには理由があります。後述参照)。
Vertxが出している外付けパーツ(ポーチ等)は、タクティガミと呼ばれています。タクティックとオリガミを掛けているようです。
このような別売ポーチなどを取り付けることができます。マジックテープが付いているものであれば、もちろん他のブランドのものでも装着可能です。
さて、このミドルコンパートメントのフラップ(蓋)がベロンとしている点ですが、これは何故かといいますと…
実はこのフラップ部を内側に織り込んですっぽり仕舞うことができます。
これにより、モール部分を表に露出して使うことができます。
アメリカではモール部分が表に出ていると、タクティカル系のバックパックだと気づかれ、銃所持者かもしれないことを気づかれてしまいますが、このReady Packはモール部を隠してタクティカルに見えないようになっています。
モールを隠すことができるのでタクティカルと気づかれないというのがアメリカでも評判がいいです。
フラップを閉まった部分は、そのままスリットポケットとして使用できます。20cmはあるので、けっこう入ります。マチも数センチあり。
お次はメインコンパートメントです。
メインコンパートメントにはダブルジッパーの他に、このホット・プル・タブと呼ばれるタブが付いています。通常は内側でマジックテープ留めされています。
これを外側に出して、フロント側に引っ張ると、メインコンパートメントを一気に開くことができます。ちょっとミステリーランチのリップラップを彷彿とさせます。
超便利・・・!!
メインコンパーメント内にある武器へのアクセスを最速にすることを想定した機能なのでしょうが、普段使いでも役立ちますよね。
TSA(空港セキュリティ)チェックの時にすごく重宝する機能ですよ!
メインコンパートメントを開いてみます。
メインコンパートメントも明るいベージュで中が見やすいです。
愛用者はこの水平筒形の収納部に懐中電灯(軍や警察が使うペン型の懐中電灯)などを入れているようです。
15インチPCが収納可能です。下部は少し嵩上げされているかどうかはちょっと不明。底部が頑強になっているのでどのぐらいかは分からないのですが安心感があります。
実は私のPCは15.6インチなので仕様外なのでですが、ちょっとキツイけどスリーブにも背面パネルにも入りました。ギリギリセーフだけど…ちょっと出し入れは大変かな。PCの寸法は38cm×25.6cm×2.35cmです。
スリーブに入れるときがちょっとキツイので、引っ張ったりしていれば伸びるかな…
15インチのPCなら丁度良いはずです。
背面側にキーホルダーがあり、家の鍵などを下げておくことができます。ポーチなども吊り下げられそう。
スリーブにハイドレーション水(飲み水)を入れることもできます。
このメインコンパートメントですが、横から見るとジッパーのラインが斜めに走っています。
このため、開いたとき中身が見やすいです。
最後は背面ポケットです。ここは英語で concealed pocket と呼ばれるコンパートメントで、武器を入れてすぐにアクセスできるコンパートメントになっています。
バックパックから片腕を抜いてバックパックを脇の下に回し、このタブを引っ張ると容易に背面ポケットにアクセスできるというわけです。
この背面ポケットは一番身体に近いところにあるので、大事な書類やパスポート&航空券を入れてもいいですね。また、ここにPCやタブレットを収納することもできます。
そしてこの背面ポケットの底部から(上の画像の左側背面、メインコンパートメント内PCスリーブの後ろにパネルがある)パネルの取り出しが可能なのですが、これを防弾パネルに変えることができます。
Vertx Ready Pack にピッタリ合う防弾パネルは Premier Body Armor で手に入れることができます。
銃乱射事件がたまに起きるアメリカなら、バックパネルの防弾パネルもそれほど突飛なアイデアとは言えないかもですね。ただ防弾パネルはある程度重さがあるけど。Ready Pack 2.0用の防弾パネルはレベル3Aで、重さは0.67kgです。
レベル3Aだと小銃はほぼクリア、.44マグナム弾までカバーできる仕様なので、ライフルとかで撃たれない限り守れることになるのか。凄いわぁ。子どもが中高大生になったら無理矢理持たせようかな。
さらに、スーツケースの上にドッキングできるように背面にスリットが入っています。ここに腕を通しますと・・・
君もキャプテン・アメリカかワンダーウーマンに。
防弾パネルを入れてあればの話ですけれども。
冗談でなく、盾としても使えるというオプションの話です。
日本でも通り魔事件あるし、防弾パネルならナイフなども防げるものね。
ただしかなり重くなるので父親に背負わせておき、いざというときに使用するというのはどうだい。
そして最後は、このフロントにあるグラブハンドルです。
これがすごく便利です。(トップハンドルも上部にあります。)
トップハンドルも上部にあるのですが、車の座席やトランク、空港セキュリティの箱の中など、バックパックを置くときに横に寝かせたり斜めにする機会も多いですよね?
このとき、トップハンドルを掴んで持ち上げるより、下のように持つ方が簡単なんです。バックパックを持ち上げて自分の方に引っ張り寄せるときの重心が安定しています。ノースフェイスの「サージ」バックパックにも前面中央にグラブハンドルがついているね。かなり便利ですよ。
TSA(空港セキュリティ)フレンドリーすぎる。
Vertx Ready Pack 1.0と2.0の違い
今回購入した2.0は2019年にリリースされた新モデルですが、前バージョンの1.0と何が違うのか気になったのでチェックしてみました。
容量を除くと、特に大きく変更された点はないようです。
Talonさんが1.0と2.0を比較してくれています。レビュー動画がすべて銃愛好家しかなかったので銃が出てきますがビックリしないでね!
容量が25Lから20Lへサイズダウン
容量が25Lから20Lへサイズダウンしています。
それに伴い、寸法も若干変更されていますが、大きく変更はしていません。
1.0:H48 x W30 x 21.6cm
2.0:H48 x W27 x 22.8cm
*公称値はインチ表記なので、若干の誤差あり。
2.0は横幅を2~3cm狭め、マチを逆に1cm広げた感じですね。
見た感じもさほど違いは感じられず、気持ち小さめ程度です。重量もほぼ変わりません。
向かって左が2.0、右が前バージョンの1.0です。
ジッパーがスムースになった
2.0の方がジッパーがスムーズになったと聞いています。
なんでも1.0の方はジッパーがたまに引っかかる時があり、レビューで低評価をした人はジッパーを原因として挙げている人が多かったです。
またジッパーも引っ張りやすいように少し大きくなったようです。
Vertxのブランドロゴを取り払った
1.0の方は控えめながらもVertxのロゴがフロントトップと右下角にありましたが、2.0では両方とも取り払われ、よりロープロファイルでカスタム性の高いバッグになりました。
2.0はハーネスの片側下の方に目立たなくVertxロゴが入っています。
内側のメッシュポケットが改良された
内側のメッシュポケットは耐摩耗性材へと改善されました。前回のメッシュポケットはネット型なので鍵やケーブルなどが引っ掛かりやすいものでしたが、その心配がなくなりました。
内側のライニングが改良された
内側のベルクロ取り付け可能部分のライニングがよりスムーズでソフトな素材に改良されています。
バックパネルの取り出し口が変わった
Vertxのバックパネルは、防弾パネルに変えることができます。以前は縦に赤いジッパーが走り、そこからパネルを取り出して交換する仕様でした。2.0では底の方のマジックテープ留めに変更されています。
これだけは縦ジッパーの方が良いかなと個人的に思いました。パネルと一緒に書類や貴重品を入れるなど、ポケットして使うこともできそうだからです。また、底部のマジックテープを剥がしてパネル出し入れはちょっぴり大変だったので。
バックパネルが改良された
背負った時に背中に当たる部分-バックパネルのモールド部も改良されました。以前はメッシュでしたが、2.0は3Dモールドパネルになっています。モールドの形が何気にVertxロゴになっていて格好いいです。
Vertx Ready Pack 2.0 感想まとめ
思ったよりずっとしっかりしててビックリしました。さすがタクティカル系バックパック。間に合わせのバックパックでも7000円くらいはしたんだけど、それと比べると雲泥の差です。
生地は500Dコーデュラ・ナイロンです。500Dでこの頑丈さならAERの1680Dてどんだけ硬いんだろう…1000Dくらいのバックパックになると着ている洋服が擦れて傷むと聞いています。耐久性はそれだけ高くなりますが、ボクシーになりますし柔軟性も失われます。
重量も重くなるので、日常使いなら500Dあたりがマックスかなと思います。薄すぎてもヘロヘロになるし。登山やハイキングなら薄くて軽量の方がいいですけどね。
このReady Packの500Dはゴツすぎず丈夫で、形もある程度キープできて、内容物への柔軟性もあるというレベルなので理想的かな。個人的には薄めのシャカシャカした生地のバックパックがあまり好みではないので、ある程度形状が保持されている方が好きなのかもしれない。使用用途にもよりますよね。
フロントとメインコンパートメントのフラップ部はある程度硬さをキープしているのでベロンと下にだらしなく垂れさがることがありませんし、その一方で開いた状態をキープしたいときはしっかりと折れてくれます。
開いた状態でも深さがあるので内容物が落ちそうな不安がありません。
さらに底部は頑強に補強してあります。これは安心だわぁ。
そして、しっかり自立します。
まだ実際に使用してはいませんが、今のところ、大満足!
特に収納面が秀逸でよく考えられていると思います。フロントのグラブハンドルとメインコンパートメントを一気に開くことができるホットプルタブなど使いやすいバックパックだと思います。
外付けポーチにはあまり興味がなかったのですが、これを手に入れると装着してみたくなっちゃいますね…
そして気になるマイナス点はというと…しいていえばやっぱり重さですかね。しっかりしている分、重量はあります。ヘロヘロなナイロンの軽いバックパックが好みなら、このバックパックは向いていません。
私も腰が悪いのであまり重いものは持てないのですが、機能性と実用性 VS 軽さを天秤にかけたら機能性と実用性の方をとるので、重量は犠牲にしなければいけないかなという感じ。(Gamutは重くて無理だと思う。)